後立山(長野/富山) 針ノ木岳(2820.7m) 2022年8月6日  カウント:画像読み出し不能

所要時間  1:40 扇沢市営駐車場−−1:45 登山口−−2:06 車道を離れる−−2:43 大沢小屋−−3:06 河原に出る−−3:11 橋(右岸へ渡る)−−3:16 雪渓に乗る(標高1850m付近)−−3:18 秋道−−3:27 雪渓に乗る(標高1920m付近)−−3:54 ルートミスに気付き戻る−−4:01 左岸秋道に乗る(標高2100m付近)−−4:07 本流渡渉(標高2150m付近)−−4:11 右岸秋道(標高2170m付近)−−4:25 最終水場−−5:00 針ノ木峠−−5:48 針ノ木岳 6:56−−7:28 針ノ木峠−−7:59 本流渡渉(標高2150m付近)−−8:03 雪渓に乗る(標高2100m付近)−−8:12 秋道に乗る(標高1920m付近)−−8:48 大沢小屋−−8:53 赤沢−−8:59 篭川渡渉−−9:01 右岸作業道(ここで上流方向へ)−−9:03 大沢小屋へ渡る橋(ここでUターン)−−9:08 林道終点−−9:20 車道−−9:34 登山口−−9:38 扇沢市営駐車場

場所長野県大町市/富山県中新川郡立山町
年月日2022年8月6日 日帰り
天候快晴。非常に暑かった!
山行種類残雪期の一般登山
交通手段マイカー
駐車場扇沢駅直下の有料駐車場より下に市営無料駐車場あり。ただしハイシーズンには早朝に満車になるので注意
登山道の有無あり
籔の有無藪漕ぎのレベルではないが大沢小屋までは草や笹が登山道にはみ出した区間があり、雨直後や朝露に濡れた時間に通過すると体に触れて濡れるので注意
危険個所の有無無し
山頂の展望晴れれば大展望
GPSトラックログ
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コメント高山植物開花のピークを狙って針ノ木岳へ。針ノ木雪渓は雪解けが進んで雪の上を歩くのは全区間の半分程度。雪解け進行状況によりルートが変わるので目印等をよく確認すること。雪渓沿い及び針ノ木峠周辺のの花は例年通りだったが、針ノ木峠〜針ノ木岳間の北斜面のお花畑は今年は大不作で、ミヤマキンポウゲ、シナノキンバイとも昨年とは比較にならないほど数が少なく、チングルマとミヤマダイコンソウの群落だけで、お花畑と呼べないような状態でびっくりだった。帰りは大沢小屋への作業道(近道)を偵察。思ったよりもまともで夏でも使える印象を受けた


帰りに出会った雷鳥。もしかしたら往路で見た雷鳥と同一個体かも


夜中1時半過ぎの無料駐車場。点々と車が上がってくる 登山口。登山指導所のテントが設営されていた
林道から登山道へ入る 沢の源頭。1か月前より水量が減っていたが豊富
オオカニコウモリ 赤沢はまだ水が流れていた
大沢小屋。今年は営業するようだ 川原に出る。一ヶ月前はここから雪渓歩きだったが雪は皆無
橋で右岸へ。これは昨年秋に経験済み 標高1850m付近で一時的に雪に乗るがアイゼン不要な距離だった
僅かに登ると秋道登場でアイゼンを脱ぐ 標高1920m付近でやっと雪渓歩き
時々目印あり 途中で雪渓が切れて迷ったが左岸側に上がるのが正解だった
ここから左岸を歩く。以降はアイゼン不要 本流を渡渉。流れは僅かで簡単に渡れる
残雪が現れるが20mくらいでアイゼン不要 右岸の秋道に乗って以降は雪は無い
最終水場で補給 1か月前の残雪が嘘のようにきれいさっぱり消えている
鹿島槍がきれいに見えている スバリ岳、赤沢岳に雲がかかり始めた
ウサギギク 葉っぱが細かく裂けているのでタカネヨモギ
ミヤマダイコンソウがまだ咲いていた ミヤマダイモンジソウ。群落あり
タカネヤハズハハコ チングルマ
葉の切れ込みが深いのでシラネニンジンらしい 針ノ木小屋
針ノ木岳方面はガスに覆われて暗い ゴゼンタチバナ
チングルマの綿毛 ミヤマアキノキリンソウ
イワギキョウ テント場は2張
クロトウヒレン 花が終わったオトギリソウ
蓮華岳も雲がかかっている 槍穂方面は曇りだが良く見えていた
クロマメノキ チングルマの群落
アオノツガザクラ ツガザクラ
雷鳥の子供。三羽いた 小雷鳥を見守る母親雷鳥
ミツバオウレン。僅かに咲き残りあり ガスの中に突入
ミソガワソウ ミヤマキンポウゲ。今年はかなり少ない
ベニバナイチゴ おそらくキバナノコマノツメ
ミヤマダイコンソウのお花畑。昨年はミヤマキンポウゲだった 徐々にガスが晴れてきた!
ヨツバシオガマ これが針ノ木岳山頂
山頂直下で3人パーティーを追い越す テガタチドリ。群落を形成していた
ミヤマクワガタ。ほとんど散っていた イブキジャコウソ
針ノ木岳山頂
タカネシオガマ ブロッケン現象
ミミナグサ。細かな種類は不明 ミヤマウイキョウ
ミヤマキンバイの残骸
シコタンソウ。ほぼおしまい イワツメクサ
針ノ木岳から見た360度パノラマ展望(クリックで拡大)
針ノ木岳から見た常念山脈、槍穂
針ノ木岳から見た黒部湖
針ノ木岳から見た烏帽子岳 針ノ木岳から見た針ノ木雪渓
トウヤクリンドウの芽。もう山は秋が近い 下山開始
コケモモ。ほとんどの花はおしまい ミヤマアキノキリンソウ。たくさん咲いていた
ミヤマホツツジ ミネウスユキソウ
ニガナっぽいが細かな種は不明 ヤマハハコ
コマクサ。登山道から離れている ミヤマダイコンソウ。昨年より大幅増
ミヤマキンポウゲ。昨年より大幅減 シナノキンバイ。昨年より大幅減
分かりにくいがミヤマダイコンソウのお花畑 クルマユリ。離れた場所なのでズームで撮影
エゾシオガマ ミヤマリンドウ
帰りも雷鳥に遭遇。これは母親 登山道上の子供
3羽目の子供 僅かに咲き残ったコイワカガミ
針ノ木峠。ガスがかかり始めた 雪渓向けて下り始める
ミヤマキンポウゲの群落 トレラン3人組。針ノ木峠直下まで扇沢から2時間!
ガレの斜面をジグザグに下る モミジカラマツ。多く見られた
モミジカラマツの葉。モミジの葉の形状 オオヒョウタンボク
最終水場 最終水場
ミヤマキンポウゲとモミジカラマツ オオレイジンソウ
標高2250m付近が雪渓上端 雪渓が近付くとガスがかかり始めて涼しくなる
アオノツガザクラ。標高2200mで見られるのも雪渓のおかげだろう ここで右岸秋道から沢に下る
本流渡渉 相変わらず種類が分からない花ミヤマタネツケバナと同定
途中までアイゼン無しで下ったが歩行速度が落ちるので装着 霧の中を上がってくる登山者
徐々に霧が晴れてきた ここで雪渓から右岸秋道に乗る
右岸の河原を下る 振り返る。雪渓は薄く歩くのは危険
橋で左岸へ 橋の上から見た雪渓
ヤマハハコ ヤマホタルブクロ
左岸の河原を下る。暑い! 標高1800m強なのにテガタチドリあり
同じくエゾシオガマもこんな低い場所で咲いていた クルマユリも
ミソガワソウ。これは元々広範囲で見られる 標高1800m付近で河原から斜面へ入る
ニッコウキスゲ。群生していた ピンボケだがカラマツソウ
ニガナとシロバナニガナ オオバギボウシ。群落あり
ウツボグサ。これも群落あり ツツジ科の花だと思う
シモツケソウ。花はほぼおしまい オオカメノキ。まだ咲いていた
ヨツバヒヨドリ。隣にはヒヨドリソウがあった ハクサンオミナエシ
大沢t小屋。今年は営業していた カニコウモリ
ズダヤクシュ キオン
登山道を外れて赤沢を下った 篭川j本流。残念ながら大沢小屋への作業道は見当たらず
石が多く飛び石で対岸に渡った 対岸から藪漕ぎ。この先に道があるはず
作業道。予想外にもともな道 ママコナ。細かな種類は不明
ハクサンフウロ。山の上では見なかったなぁ 大沢小屋に至る橋
オニシモツケ 残雪期には横倒しになっていた梯子で堰堤を下る
ソバナ クガイソウ
林道終点 軽トラが上がっていった
泥濘は迂回路あり ミヤマナデシコっぽい。ナデシコの仲間は間違いなし
ここを自動車でかき分けるのはちょっと・・・・ 花はニガナに似ているが種類不明
ベニバナイチヤクソウの残骸 コゴメグサだが細かな種類は不明
針の木小屋関係者の車 車道に合流
ネットで調べても分からない。せめて科が分かればなぁ 土曜日でも作業をやっていた
おそらくキンミズヒキ 扇沢駅
登山指導所に人が入っていた ヤナギラン。人の手で植えられたものだろう
キツリフネ。秋を感じる花 市営無料駐車場は満車


 今年の会社の夏季休暇は8/6(土)〜8/15(月)まで。ただし、この間の本当の休暇は8/15だけであり、8/11(木)の山の日は国民の祝日なので元々休みであり、残りの平日4日間は有給休暇の強制取得日である。私としてはまとめて休むよりも通常の有給休暇として天候がいい日に取得して山に活かす方がいいのだが、こればかりは仕方ない。今年もコロナで予約なしでは山ではテントを含めて宿泊はできないため、ここ2年と同様に日帰り連発でいくことにした。毎日は無謀であることは昨年経験済みなので、隔日で日帰りを繰り返すことにした。

 まず最初は針ノ木岳とした。これはまだ高山植物のシーズンであり、昨年の針ノ木岳カールのお花畑を見たからには今年も花のピークの時期に登りたいからであった。白馬岳は先週登って花を満喫したのであった。

 雪渓がどこまで残っているのか不明なので事前にネットで情報収集。それによるとどうやら左岸から右岸へ渡る下流の橋は既に開設されているようで、まずは右岸へ渡る必要がある。左岸へ渡り返す橋があるのかどうかが複数の記録を見たがはっきりせず、あるように見える記録もあるが橋が登場しない記録もあった。計画では真っ暗な時間帯に雪渓を登るので、雪渓から秋道に取り付く場所は事前に知っておかないと迷う危険性が高い。最終的に右岸で秋道に取り付く場所は知っているが、その間にずっと雪渓を辿れればいいのだが。

 金曜夜の扇沢無料駐車場は前回よりも車は多く駐車中。多くは関電トンネルから黒四ダム方面へ入って宿泊中の車だろうが、私のような車中泊組もいた。山頂到着は日の出の1時間後の午前6時を目標として出発は午前2時前。この時間に入ってくる車がいるのは夏山シーズンらしいシーン。それらの主が仮眠に入る中、私はLEDライトを点灯して出発。

 今回は往路で一般の夏道を使うか、大沢小屋への近道(作業道)を使うか悩んだ。ネットの記録では作業道は私が5月に歩いた冬道と重なり、途中で沢を橋で渡って小屋に登るようだが道の濃さが不明だ。初めて通る道であり道が薄いと暗闇の中では道を失って迷う可能性があり使うか悩んだが、リスクを避けて往路は一般登山道を使うことにした。

 登山道は夏場は草がはみ出しており朝露で濡れていると衣服が濡れてしまう箇所があったが、今年は多少手入れされたようで2年前よりはマシになっていた。大沢小屋は昨年は休業だったが、今年は入口の雪除けのドアが開いていて営業しているようであった。帰りに実際に営業していることが判明した。

 例のごとく大沢小屋以降は体に触れる藪は減って歩きやすくなる。1ヵ月前は河原に出ると同時に雪渓に乗ることができたが、この時期は河原に出ても雪渓は影も形も無く左岸の河原を歩いていく。やがてそのまま左岸を直進する道と沢の本流方面へ左へ下る道に分岐するが、橋がかかっている時期はここは左が正解なので左へ進むと橋で本流を渡って右岸へ。ここでもまだ雪渓は無いので右岸の秋道を上がっていくと雪が登場し、軽アイゼンを装着するもすぐに雪が無くなりすぐにアイゼンを脱ぐ羽目に。本格的に雪渓が続くようになるのは標高1920m付近であった。

 しばし雪渓を登っていくが途中で雪渓が切れて広く流れが出ている箇所が登場。ここで右岸沿いを登ったが雪が切れても秋道が見当たらず、ザレて崩れやすい急斜面を強引に登ってみたが上部にも秋道は無し。ということは流れの左岸側にルートがあるはずなので逆戻りして雪渓がつながった場所で左岸側の雪渓に乗って少し登ると岸に上がるよう目印が登場したのでここで雪渓から陸地に上がる。この後は左岸に沿って明瞭な秋道が続いて迷うことは無かった。

 標高2150m付近で左岸の道があやふやになり、水量が少ない本流の流れを渡って右岸に上がると明瞭な道が登場。対岸へ渡る箇所を見落としたようだが少なくとも橋は無かったと思う。流れを渡ってすぐに短い雪渓が現れるが暗闇ではどこまで続いているのかLEDライトでは見えないので軽アイゼンを装着して20mくらい進むと見覚えのある秋道入口が登場。もうこの先はアイゼンが必要な場所は無いはずなので安心してアイゼンを収納した。帰りはここはアイゼン無しで歩いたが傾斜が緩いので問題なかった。

 雪渓から秋道に乗るとミヤマキンポウゲ、モミジカラマツを中心とした花が目を和ませる。最終水場の標識で水を汲む頃にはライトが不要な明るさになっていた。水が涸れた沢を遡上して赤いガレた斜面が登場するとそこにジグザグに付けられた登山道を上がる。1か月前はここはまだ雪に埋もれていたが今は沢の中にも雪はほとんど残っていなかった。

 薄明るくなった頃は北に見えている赤沢岳〜爺ヶ岳の稜線はすっきり晴れていたが、いつの間にか赤沢岳とスバリ岳にガスがかかり始めた。時間経過と共にガスは低くなってきて岩小屋沢岳にもかかるようになってしまった。ここからは針ノ木岳はまだ見えないが山頂はガスの中である可能性が高い。もしかしたら蓮華岳はガスがかかっていないかもしれず、もしそうなら予定変更で蓮華岳でもいいかと考え始めた。

 針ノ木峠が近付くと再び花が登場。ミヤマダイコンソウ、チングルマ、タカネヨモギ、ミヤマダイモンジソウ、タカネヤハズハハコ、シラネニンジン、ミヤマキンポウゲなど。ここではまだミヤマリンドウは見られなかった。

 針ノ木峠に出ると針ノ木岳側も蓮華岳側もどちらもガスがかかっていることが判明。だったら花が多い針ノ木岳に決定だ。1ヶ月前とは異なりもうこの先は残雪は無いので安心して歩ける。テント場には2張あり。ハイマツの影にまだゴゼンタチバナが咲いていた。まだ真夏だがミヤマアキノキリンソウはあちこちに見られる。

 稜線北側をトラバースするルートに出ると下ってくる登山者の姿あり。当然ながら小屋泊まりの人だろう。この斜面は昨年の今頃はミヤマキンポウゲとシナノキンバイの大お花畑であったが、今年はどういうわけかその両者は僅かしか見られず、主役はミヤマダイコンソウであった。ただしその数は昨年とは比較にならないほど少なく、お花畑と呼べるかどうか微妙な状態で期待外れでがっかりだった。コバイケイソウは当たり年があると聞くが、他の花も当たり年があるようだ。来年に期待しよう。

 途中で雷鳥親子に遭遇。ガスが出ているのが良かったのかも。子供は3羽でまだ親との大きさは結構な差があって見分けは簡単であった。人をあまり恐れないので登山道付近で草をつつく姿がずっと見られた。名残惜しいが写真撮影して先へ。なお、下りでも同じ家族と思われる雷鳥に遭遇できた。

 山頂はガスって何も見えないと覚悟していたが、私が登っていくとガスの高さも上がっていき稜線は徐々に晴れ間が広がってきた。そして山頂のガスがすっかり晴れて青空に! この状態がずっと続いたわけではないが、山頂到着時にそれが逆に幸いすることになる。

 登りの男性3人組を山頂直下で追い越して針ノ木岳山頂へ。先客は2名が休憩中。山頂の西側からガスが上がってきて東側は晴れた状態で、ブロッケン現象が出る絶好の条件が揃い、予想通り西側の霧のスクリーンに明瞭なブロッケン現象が出現! 虹の輪がはっきりと見え、写真にもしっかりと写っていた。このガスは時間経過と共に徐々に薄まって下山する頃にはすっかり晴れていた。

 北アルプスは晴れていたが八ヶ岳や南アルプスは雲の中。志賀高原は雲海の下で奥日光方面も雲海が高すぎて見ることはできなかった。でもガスが切れただけでもラッキーであり満足すべき展望だろう。

 山頂付近ではテガタチドリ、ミヤマクワガタ、イブキジャコウソウ、タカネシオガマ、ミミナグサ、ミヤマウイキョウ、イワツメクサ、シコタンソウ、ミネウスユキソウ、ミヤマホツツジ、コケモモ、トウヤクリンドウなどが見られた。

 小屋泊まりの人の大半は種池山荘方面へと縦走に向かっていった、私の場合はここでそれをやって体力を使うと回復に1週間近くかかり、長いお盆休みに山無しの日が何日続いてしまうので自重し、針ノ木岳のみで下山開始とした。

 針ノ木峠までの下りではほとんどすれ違う人は無しで、針ノ木峠から下り始めてすぐにトレラン3人組とすれ違った。出発時刻を聞いたら5時半とのことで、扇沢から2時間でほぼ針ノ木峠まで上がってきたことになる。恐るべし。行先を聞いたらなんと針ノ木谷を下って黒部湖に向かうとのこと! 沢沿いの道で雨にならないよう早く出発したとのことだった。天気予報では大気の状態が不安定で日中は雷雨の可能性が高いと出ていた。針ノ木谷で豪雨に見舞われたら増水で危険であるが、彼らの足の速さなら短時間で抜けられるだろう。

 その後は夏山シーズンらしく続々と登ってくる登山者とすれ違う。雪渓に乗るが最初は傾斜が緩いのでアイゼン無しで下っていくが、徐々に傾斜が出てくると滑らないよう足の置き場に注意が必要となり歩行速度が大幅に低下したのでアイゼンを装着。6本爪でも効果絶大で快調に下った。雪渓上はガスが流れて涼しい! その中から続々と登山者の姿が現れる。

 右岸の秋道に乗る場所で雪渓歩きは終了。僅かに雪が残る秋道を下って橋で左岸へ渡る。雪渓を離れると冷たい風が無くなり暑い! 河原では標高が低いにもかかわらずテガタチドリ、エゾシオガマ、クルマユリが見られた。ミソガワソウはこの標高で見られて当然だ。

 河原から斜面に取り付くとニッコウキスゲ、カラマツソウ、ニガナ、シロバナニガナ、オオバギボウシ、タテヤマウツボグサ、シモツケソウ、オオカメノキ、ヨツバヒヨドリ、ハクサンオミナエシ等が見られた。赤沢までの樹林帯ではカニコウモリ、ズダヤクシュ、キオン等が咲いていた。

 帰りは営業している大沢小屋から作業道を下ってみようと思ったが道の入口が不明。まあ、案内が出ているわけはないが。トイレ入口が怪しかったが使用料を入れる箱が入口にあり、小屋から丸見えなのにトイレ料金を払わずにトイレへ通じる道に入るのもはばかれるためチャレンジは断念。代わりにすぐ近くの赤沢を下って篭川本流へ下り、作業道を探ることにした。

 まだ水が流れる赤沢の右岸を伝い、歩きにくくなると左岸へ渡ったりしたが基本的には右岸を歩いた。赤沢の水量は少ないので渡渉は簡単であった。やがて篭川に到着。作業道があればラッキーであったが道は無し。と言うことは道は上流側にあるはずだが左岸は切り立って川沿いを歩くことはできず、岸の上は濃い藪に覆われて突っ込みたくない状況。ここでどうするか考えたが篭川の水量は思ったよりも多くはなく、飛び石を利用すれば容易に対岸に渡れるので、対岸の近い場所にあるはずの作業道に乗り移ることにした。

 飛び石で川を渡り対岸の藪に突入。とは言っても笹はなく草が主体であり突破は容易だった。ただしこの時期の藪はダニに要注意で、案の定、帰宅後に足に取り付きかけたダニを発見して潰した。

 藪の距離は20mほどで明瞭な作業道に飛び出す。道の状態は思ったよりも良好で無雪期でも十分に使えそうだった。今後のために大沢小屋方面に登り返して篭川にかかる橋を確認。しっかりした構造であったが冬場は雪崩で破壊されるだろうから、小屋が営業している期間のみかかっているのかも。作業道脇にはママコナ、ハクサンフウロが咲いていてびっくり。この標高で見られるとは思わなかった。オニシモツケ、ソバナ、クガイソウもあった。

 作業道を下っていくと5月に歩いた時に見た風景に遭遇。堰堤を下る箇所には梯子が掛けられていたが、これは5月には堰堤手前に横倒しになっていた梯子に違いない。あの時はまだ残雪が豊富で梯子が無くても残雪で簡単に堰堤を下れる状態であった。

 林道終点以降は草っぽい林道歩き。両側から草木がはみ出し路面上は低い草が覆っていて、草が濡れている時には防水性能が無くなった私のボロ登山靴では靴下まで濡れそうだ。路面全体が泥沼状態の箇所は歩いて迂回するルートができており、無雪期でもこのルートを利用する人がいるのは確実であった。利用するのは人間だけではなく、なんと軽トラが草をかき分けて上がってきたのにはびっくりした。おそらくは大沢小屋の関係者で、林道終点まで軽トラで入って残りを歩くのだろう。これなら小屋への荷揚げも最小限の労力で済む。大沢小屋近くではヘリポートを見たことがないのでこれが唯一の荷揚げルートだろう。

 林道脇ではソバナ、ミヤマナデシコ(初めて見た)、細かな種類は不明だがコゴメグサも。5月に見た開花直前のベニバナイチヤクソウは実に変わっていた。

 林道入口には針ノ木小屋関係者の車があり、針ノ木小屋従業員もこの道を利用しているようだ。舗装された車道に出て登山道でショートカット。登山道脇ではボーリング調査中だった。下りは暑く汗をかいたので沢で水浴びしようかと思ったのだが、いつもの水浴び箇所は林道から舗装道路に出た箇所よりも上部にあったようで、簡単に沢に下りられる箇所はなく沢まで2m程度の垂直の壁を下る必要がある沢しかなかったので断念。ここで風冷用の扇を落としてしまったようだが発見ならず。まあ100円ショップで購入したもので昨年から使っているので元は取っただろう。

 登山口の仮設テントの登山指導所には人が詰めていた。さすがにこの時間から登る人の姿はなし。立山へ登ったのだろうか、ザックを背負って扇沢駅から下ってくる人の姿があり、私と同様に無料駐車場へと下っていった。無料駐車場は満車状態で、着替えて車を入口へと走らせると誘導員がいた。満車なので空きが出るまで別の駐車場を利用するよう誘導しているのだろう。柏原新道近くの駐車場も満車状態であった。

 

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